森林法の一部を改正する法律案

Posted by bangin_hood@yahoo.co.jp on 2025年8月16日

平成22年11月30日
森林法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。  我が国の国土の三分の二を占める森林は、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、地球温暖化の防止等の公益的機能を有しております。戦後を中心に造林された杉、ヒノキ、カラマツ等の人工林が資源として量的に充実しつつあり、利用可能な段階を迎えているなど、豊富な資源量を誇っております。  しかしながら、木材価格の低迷等による林業の採算性の低下、転居や相続等による所有者不明森林の存在などから、施業の集約化や路網整備等を通じた適切な管理が行われておらず、森林の有する公益的機能の発揮が危ぶまれる状況にあります。  さらに、外国資本による我が国の森林取得の動きも報告されております。河川の上流域などの水源地域において、地元の合意がないまま森林売買が増加していけば、森林の適切な管理が一層困難となり、水資源の保全等に影響を及ぼすことが懸念されます。  こうした現状を踏まえ、貴重な水資源や木材資源の源である森林を守り、森林の有する公益的機能を維持するため、森林所有者等の届け出の制度、伐採及び伐採後の造林の届け出をせずに伐採を行った者に対する伐採の中止及び造林の命令に係る制度の創設等を行う必要があります。  こうした考え方のもと、自由民主党・無所属の会は、本法律案を提出することといたしました。  以下、その主な内容について御説明申し上げます。  第一に、森林所有者等となった旨の届け出等の制度を創設することとしております。  第二に、市町村の長は、伐採及び伐採後の造林の届け出をしなかった者の行った伐採または伐採後の造林が市町村森林整備計画に適合しないと認める場合において、森林の有する公益的機能を維持するために必要があると認めるときは、伐採の中止を命じ、または造林に必要な行為を命ずることができることとしております。  第三に、都道府県知事または市町村の長は、造林または植栽等に係る命令をした場合において、当該命令を受けた者が当該命令に係る行為を行わず、行っても十分でなく、または行う見込みがなく、かつ、当該森林の現に有する水源涵養機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼす等のおそれがあると認められるときは、みずから当該行為の全部または一部を行うことができることとしています。  第四に、保安林の立木を無許可で伐採した者、保安林に係る植栽命令に違反した者等の罰則について、罰金刑の上限を引き上げることとしております。  第五に、国及び地方公共団体が講ずる措置等として、保安林の指定に係る適切な権限の行使、森林の土地に係る境界の確定のための措置、森林に関するデータベースの整備等、施業の集約化等の事業の推進、森林所有者等が不明な場合の間伐または保育に係る制度の創設等、地方公共団体が行う保安林等の買い入れに関し、必要な措置を講ずることとしております。  第六に、この法律の施行の際、現に民有林の森林所有者等である者について、経過措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます